暮らしのノート 心地好い住まいのヒントを綴ります

天然石と光がつくる、日常の中の非日常

天然石と光がつくる、日常の中の非日常 山田 貴次

天然石と光がつくる、日常の中の非日常

旅行先や素敵な建築を訪れたとき、

「なんだか落ち着くな」
「ずっとここにいたいな」
「ちょっとワクワクするな」

そんな感覚になることがあります。

私が思う「非日常」の魅力は、豪華であることや、
珍しいものがあることだけではありません。

その場所に身を置いた瞬間に、

癒される。
心地好い。
ワクワクする。

そんなふうに、いつもとは少し違う感情が生まれること。

私が、そんな感覚を強く感じる建築には、
ある共通点があります。

それが、

「天然石」と「光」

です。

天然石には、人工物にはない表情があります。

色の濃淡や凹凸、ひとつひとつ違う模様。

その素材感に太陽の光が差し込んだり、照明の光が当たったりすると、
石の陰影が浮かび上がり、空間の表情が一気に変わります。

朝の光と、夕方の光。
晴れた日と、雨の日。
時間や季節によっても見え方が変わる。

その変化まで含めて、空間そのものを味わえるところに、とても惹かれます。

たとえば、軽井沢にある「石の教会 内村鑑三記念堂」。

あるいは、「雅叙園 ガーデンチャペル」。

私がこうした建築に惹かれるのも、
石が単なる装飾として使われているのではなく、
光と重なりながら、
空間そのものをつくっているからなのだと思います。

さらに好きなのは、石がただ壁に貼られているだけではなく、

「構造物としてそこにある」

と感じられる使われ方です。

厚みや重さ、積み重なりを感じることで、
石という素材がより力強くなり、
そこに差し込む光がさらに印象的になる。

すると、ただ「きれい」というだけではなく、
その場所にいることで感情まで動かされるような感覚があります。

もちろん、住宅の中に教会のような空間をつくる必要はありません。

でも、そのエッセンスを少しだけ
暮らしの中に取り入れることはできます。

玄関の一角。
リビングの壁。
中庭へつながる場所。
お気に入りの椅子から見える景色。

そこに天然石があり、朝の光や夕方の光が当たる。

夜になれば、照明が石の凹凸を照らして、昼間とは違った表情を見せてくれる。

そんな場所が家の中にひとつあるだけで、

「今日もいいな」

と、ふと感じられる瞬間が増えるのではないでしょうか。

旅行や特別な場所に行ったときに感じる、
癒しや、心地好さや、ワクワク。

それを「非日常」で終わらせず、ほんの少し日常の中につくる。

家は毎日を過ごす場所だからこそ、
そんな小さな感情の積み重ねを大切にしたい。

天然石と光がつくる、日常の中の小さな非日常。

そんな感覚を住まいの中に表現できたら、とても素敵だと思いませんか?