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家づくり豆知識

断熱性能を高めると心地よさもアップ!Ua値だけでは分からない断熱材の選び方

家づくりをする際に、断熱性能を高めることはとても重要です。断熱性能が高い家は、夏は涼しく冬は暖かく、一年中快適に過ごせます。また、冷暖房の効率が良くなり、光熱費やCO2排出量を削減できる省エネ住宅でもあります。

 

しかし、断熱性能を高めることは、省エネ効果だけでなく、心地よさや健康にもメリットがあります。

 

心地よい住まいとは、どのようなものでしょうか?

 

そして、断熱性能を判断する基準としてよく聞く「Ua値」とは何でしょうか?

 

また、Ua値だけでは分からない断熱材の選び方とはどのようなものでしょうか?

 

今回は、これらの疑問にお答えしながら、断熱性能を高めるために気をつけるべきポイントをご紹介します。

 

 

△大屋根の大空間が心地好いゆとりの住まい

 

□心地よい住まいとは?

 

心地よい住まいとは、人によって感じ方や好みが異なるものですが、一般的には以下のような要素が関係しています。

 

● 美的要因・・・好みのデザインや素材感、色使い、気持ちい吹き抜けなど

● 機能的要因・・・動きやすい動線に加え、適切な収納量や位置、バリアフリーなど

● 心理的要因・・・家族やペットとのイベント・遊び、一人での趣味・娯楽など

● 生理的(物理的)要因・・・気持ちいい温冷感や不快でない臭いや音環境など

 

これらの要素がバランスよく備えられた住まいが、

心地よいと感じられる住まいと言えるでしょう。

 

しかし、これらの要素は単独では成り立たず、互いに影響しあっています。例えば、美的要因だけにこだわって大きな窓や吹き抜けを設けたとしても、生理的要因が損なわれて寒暖差が大きかったり眩しさが強かったりしたら、心地よさは感じられません。

 

逆に、生理的要因だけにこだわって窓を小さくしたり天井を抑えすぎたりしたら、美的要因や心理的要因が損なわれて窮屈な空間になってしまいます。

 

したがって、心地よい住まいを実現するためには、美的要因や機能的要因といった意匠と、生理的要因といった環境性能をバランスよく考慮する必要があります。

 

特に環境性能の中でも重要なのが、「熱環境」です。熱環境とは、気温、湿度、放射温度、気流などの要素が関係する、住まいの中の温度や湿度の状態のことです。

 

熱環境が心地よいと感じられるかどうかは、人によっても季節や時間によっても異なりますが、一般的には以下のような範囲が快適域とされています。

 

  • 気温:18~28℃
  • 相対湿度:40~70%
  • 放射温度:気温と同程度
  • 気流速:0.15~0.5m/s

 

これらの範囲から外れると、暑さや寒さを感じたり、不快感やストレスを感じたりします。また、長期的には、健康や免疫力にも影響を与えることがあります。

 

例えば、冬に室内が寒すぎると、血管が収縮して血流が悪くなり、風邪やインフルエンザにかかりやすくなったり、冷え性や高血圧などの生活習慣病の原因になったりします。

 

逆に、夏に室内が暑すぎると、発汗や脱水で体力が消耗し、熱中症や脳卒中などの危険性が高まったりします。

 

そうしたリスクを避けるためにも、熱環境を適切にコントロールすることが大切です。しかし、それは単に冷暖房を使って一定の温度に保つということではありません。冷暖房はエネルギーを消費するだけでなく、室内の空気を乾燥させたり汚染させたりする可能性もあります。

 

また、季節や時間によって微妙に変化する自然の温度や湿度を感じることは、心理的要因としても心地よさにつながります。では、どのようにして熱環境をコントロールすればよいのでしょうか?

 

それは、「断熱性能」を高めることです。

 

 

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□Ua値とは?

 

断熱性能を高めるためには、「Ua値」という数値を知る必要があります。Ua値とは、「外皮平均熱貫流率」と言って、断熱性能を数値で示したものです 。外皮とは、屋根や壁、床、窓などの建物の表面のことで、室内の熱が外皮を通して外に逃げていきます。

 

Ua値は、外皮の面積あたりにどれだけの熱が逃げるかを表す数値で、単位はW/㎡・Kです 。Ua値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能が高いということになります。逆に、Ua値が大きいということは、断熱性能が低いということです。

 

日本では気候や地域によって外気温の差が大きいため、国は全国を8つの地域に分けて、それぞれの地域ごとにUa値の基準値を定めています 。

 

△小上がりの畳ヌックで読書を楽しむ平屋

 

□Ua値だけでは不十分な理由

 

Ua値は断熱性能の指標の一つですが、それだけでは不十分な理由があります。それは、Ua値は「平均値」であるということです。例えば、窓の断熱性能が著しく低くても、壁の断熱性能をオーバースペックにして補うことで、Ua値を良い数値にすることができてしまいます。

 

しかし、実際に住んでみると、窓から冷気や暖気が入ってきたり逃げたりしてしまい、快適さや省エネ効果が損なわれてしまいます。また、部屋ごとに断熱性能に差があると、部屋間の温度差が生じてしまい、ヒートショックのリスクが高まります。

 

したがって、Ua値だけでなく、各部位のU値(部位別の熱貫流率)も確認することが大切です。

 

 

□断熱性能を高めるために気をつけるべきポイント

 

断熱性能を高めるためには、以下のようなポイントに気をつけることがおすすめです。

 

  • 屋根や壁、床などの外皮には、高断熱材を使用すること。断熱材の種類や厚さによって断熱性能は異なりますので、比較検討してみましょう。
  • 窓やドアなどの開口部には、二重窓や複層ガラスなどの高断熱・高気密なものを選ぶこと。開口部は外皮の中でも最も熱が逃げやすい部分ですので、特に注意が必要です。
  • 外皮と外皮の接合部や隙間には、気密テープやシーリング材などを用いてしっかりと気密処理をすること。隙間から空気が漏れると、断熱性能だけでなく気密性能も低下してしまいます。
  • 断熱性能だけでなく、換気性能も考慮すること。高断熱・高気密住宅では、室内の空気がこもりやすくなりますので、新鮮な空気を取り入れるために換気システムが必要です。24時間換気システムや熱交換型換気システムなどがありますので、自分の家に合ったものを選びましょう。

 

□まとめ

 

今回は、家づくりで断熱性能を高めると心地よさもアップする理由と、Ua値だけでは不十分な理由と他にも気をつけるべきポイントについてご紹介しました。断熱性能を高めることで、快適さや省エネ効果だけでなく、健康や耐久性にもメリットがあります。

 

家づくりをする際には、Ua値だけでなく各部位のU値やC値、換気性能もチェックしてみてくださいね。心地よい住まいは、美的要因や機能的要因といった意匠と、生理的要因といった環境性能をバランスよく考慮したものです。心地よさを求めることは、自分や家族の幸せにもつながります。ぜひ、心地よい住まいを目指してみてくださいね。

 

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